この夏、連邦航空局(FAA)は、オクラホマシティーにおいて、航空会社の乗員の参加の下に、ボーイング737-800型機の模擬飛行装置を使用して、操縦室内に設置した視覚支援装置が、標準よりも視程の悪い状況下での離陸のために必要な地上施設を置き換えることが可能であるかどうかについて、試験を行うこととしている。

概念実証のための試験は、次の4種類のガイダンスについて行われる。

・ヘッドアップディスプレイ(HUD)に表示されたカテゴリー1又は2の計器着陸システムによる横方向のガイダンス

・強化飛行視野システム(EFVS)(フライトコンピューター及び前方を向いた赤外線カメラによるガイダンスを表示するHUDが装備されている。)

・HUDに表示された補強された衛星航法ガイダンス

・ヘッドダウンディスプレイに表示された合成視野によるガイダンス

一般に離陸において必要とされる「標準的な」視程は1/2マイルであるが、航空会社は、施設のアップグレードがなされている等の条件により、特定の空港で滑走路視程が300フィート以上で離陸することについて認可を受けることができる。低視程下の運航を行うためには、空港がFAAの規則に適合している必要があり、航空会社は運航仕様書において認可を受けなければならない。

視程1/4マイルで離陸するためには、

・滑走路に高輝度滑走路灯及び滑走路中心線灯

・滑走路に繋がることを示す誘導路中心線灯

・滑走路警戒灯

・制御が可能な停止線灯(視程が500フィート未満で離陸する滑走路に限る。)等が設置されている必要がある。

FAAによる概念実証のためのシミュレーションは、新しい機上電子機器によって、滑走路中心線灯等の地上施設の一部又は全部の置換えが可能であるかどうかがわかるようになっている。

最初のフェーズにおいてFAAは、滑走路中心線灯がない滑走路における視程500フィート以上での離陸を認めることを目的としている。この方式は、航空会社の運航仕様書において認可された場合に、カテゴリー1のILSの横方向のガイダンスを用いたHUDを使用するパイロットに適用される。

4つのフェーズからなる模擬飛行装置による試験の後、運用の安全についての評価を完了させると、FAAは説明している。 (Aviation Daily 160531)