ALPA Japan(日本乗員組合連絡会議) は、日本国内の航空会社11社のパイロットによって構成される団体です。
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ADOT 40-10 | HoneywellがPC-12型機のインシデントを受けてSVSの調査

Honeywellは、2016年6月18日にオーストラリアで発生した急患輸送用のピラタスPC-12型機のインシデントを受けて、HoneywellのSVS(Synthetic Vision System:コンピューター画像によって操縦室の前方の外界の様子を再現し、表示する視覚支援システム)を「より強固なものとする」ための調査を行っている。

このPC-12型機には、Honeywell製のPrimus Apex統合アビオニクスが搭載されていた。

オーストラリア運輸安全局(ATSB)が作成したこのインシデントについての報告書は、SVSがジェネアビ機及びビジネス機のみならず、将来的に航空輸送部門においても利用されるなど、一般的になりつつあることから、航空業界の幅広い関係者の関心を集めている。

ATSBによると、このインシデントの概要は、次のとおりである。

2人のパイロット及び看護師が搭乗したPC-12型機が、月明かりの中、オーストラリア西部のParaburdooに向けてMeekatharraを離陸した。

離陸から18秒後、速度110ノットで250フィートを上昇中に当該機の電波高度計が故障し、電波高度の指示が0フィートに戻ったため、SVS(外界の様子を再現するために、滑走路及び障害物に関するデータベースの情報に加え、電波高度計を利用する。)によって両パイロットのプライマリーフライトディスプレイ(PFD)上に表示されたバーチャルな地表が「素早く」上方に移動した。

パイロットは、これに対処するため、操縦輪を引き、機体を上昇させようとした。

モニター担当のパイロットが外を見て、機首が上がりすぎていることに気付き、操縦担当のパイロットに注意喚起したため、この状況は解消された。

SVSは、当該機が850フィートを上昇中に復旧した。

インシデントの間、電波高度計の故障に関する警報及び注意は表示されず、航空機に装備されている対地接近警報装置による音声による注意喚起もなかった。

報告書には、両パイロットは、Primus Apexに関する運用マニュアルにSVSを操縦操作又は航法に用いてはならないと警告されていることを認識していたが、調査官に対して「SVSによって合成された画像が目立つことから、誤った情報を無視し、有効な情報を見付けることは容易ではない」と証言したと記されている。

このインシデントにより、SVSによる画像をPFDに表示させる場合における故障に対する訓練を改善する必要があることが明らかとなった。航空輸送部門についていえば、主要なメーカーの全てが、航空機が異常な姿勢となることを防止するために、三次元のバーチャルな外界の様子を風防上に表示することを検討している。

今回のインシデントにおいては、パイロットが予備の姿勢ディスプレイの代わりにSVSによる画像に頼ったことから、SVS自体が異常姿勢の大きな要因となったと考えられる。

Honeywellは、2016年8月にパイロットに対する注意喚起のレターを発行し、事案の概要を説明するとともに、SVSを状況認識の向上の目的でのみ使用し、「ピッチ角、ロール角、ヨー角又は高度を表示するPFDの代替となる姿勢又は高度の表示」として使用しないよう注意喚起した。

(Aviation Daily 170201)

ADOT 40-09 | ANAの787エンジン不具合、ロールス・ロイスが改良型ブレード供給開始

全日本空輸(ANA/NH)は1月27日、ボーイング787型機で2016年に起きたエンジン不具合について、製造元の英ロールス・ロイス(RR)が改良型部品の供給を始めたことを明らかにした。

トラブルが起きたのは、787に左右1基ずつ計2基搭載されているRR製エンジン「トレント1000」。エンジン内で、燃焼ガスを発生させるために必要な圧縮空気を送り出す圧縮機を回す「中圧タービン」のニッケル合金製タービンブレードが破断するトラブルが、2016年に複数発生した。

最初にトラブルが起きたのは、2016年2月22日のクアラルンプール発成田行きNH816便(787-8、登録番号JA804Aの右エンジン)。2件目は3月3日のハノイ発羽田行NH858便(787-8、JA807Aの右エンジン)で、その後は8月20日に国内線の羽田発宮崎行きNH609便(787-8、JA825Aの右エンジン)でも起きた。RRは当初、国内線では発生しない不具合であるとANAに説明していた。

いずれもトラブルが発生したエンジンをパイロットが手動で停止し、出発空港へ緊急着陸している。787は短時間であれば、使用出来るエンジンが1基だけでも最寄りの空港まで飛行出来る。

トラブルを受け、ANAは8月25日に事実を公表。翌26日から31日まで、787で運航する国内線のうち、計18便を欠航した。欠航や遅延は国内線のみで、国際線に影響は出なかった。ANAによると、8月の対応以降は同種の不具合は起きていないという。

エンジンを製造したRRは9月に入り、対策を施した改良型タービンブレードの供給を、2017年1月にも開始する意向を示していた。

ANAによると、改良型ブレードの供給は今月始まったばかりだという。現在787を57機(787-8が36機、787-9が21機)保有しており、3年後の2019年末までにすべて改良型に交換する。

(Aviation Wire 170127)

ADOT 40-08 | 電子的「視覚支援装置」有視界と等価

米国の航空会社は、間もなく、実際の気象条件によらず、バーチャルな晴天を創り出す電子的な視覚支援装置を使用する「有視界飛行と等価な運航」の時代に一歩近付くことになる。

連邦航空局(FAA)は、2004年にジェネアビ向けに発行したEnhanced Flight Vision System(EFVS)に関する規則を大幅に近代化する規則を2016年11月に発行した(注:Federal Registerには2016年12月13日に掲載された。)。2004年の規則では、運航者は、直線計器進入を行う際に、前方を向いた赤外線(IR)センサーによる画像及び航空機を誘導する一定のシンボルをヘッドアップディスプレイ(HUD)に表示させるEFVSを、高度100フィートまで目視による外部監視の代わりに使用することができた。

ほとんどの精密進入において、高度200フィートにおいてパイロットが滑走路を目視により確認できなければならないことから、EFVS非装備機が目的地を変更しなければならない場合であっても、EFVSを装備した航空機は着陸できるというメリットがあった。FAAは、2004年以降、982機の航空機(その大部分が大型ビジネスジェット機)にEFVSが装備されたと推定しているが、例外的にFedExがダグラスMD-11型機、ボーイングMD-10型機、757型機、767型機及び777型機並びにエアバスA300型機及びA310型機において使用している。一般的なEFVS関連機器一式の価格は、1機当たり100万ドル程度である。

2017年3月に施行される新しい規則では、航空会社、エアタクシーにおいてEFVSの利用を拡大するとともに、EFVSの利用範囲を着陸及び着陸後の滑走まで拡大することによって大きなメリットが生ずると見込まれる。新しい規則では、2004年の規則には含まれていなかったEFVSを使用した進入を行うパイロットに対する訓練の基準も追加されている。

「EFVSによる視程のアドバンテージ」がフィートで表されることもよい点である。航空会社は、公示された進入のための最低気象条件からEFVSによる視程のアドバンテージを差し引いた、いわゆるEFVS最低気象条件を適用することができる。一般的なカテゴリーI(CAT I)計器着陸システム(ILS)進入において、進入に必要な最低の視程が2,400フィートであり、EFVSによる視程のアドバンテージが1,000フィートである場合には、通報された視程が1,400フィートあれば進入を行うことが可能となる。FAAは、初期段階においてはEFVSを用いた場合の最低の視程を1,000フィートとし、運航者が経験を積み、電子画像装置が成熟した際にこれを引き下げる計画である。

EFVSの証明に当たっては、視程のアドバンテージを決定するために、特定の気象及び視程の条件下で50回以上の進入及び5回以上の復行を行う必要がある。FAAの運航基準担当部署は、2つの異なる空港における視程0.5マイル以下の条件で行われた20回の進入の結果等に基づいて、EFVSによる視程のアドバンテージを決定する視程のアドバンテージはコックピットの外の視程とHUDに映されたEFVSによる視程の差で計算される。FAAは、地上試験によりこれを計算することが可能であるかどうか検討を続けている。

承認されたEFVSを使用する航空会社は、視程のアドバンテージによって、予報され、又は通報された目的地の空港の視程が、行おうとする進入方式に必要な下限を下回っている場合に航空機を出発させ、又は計器進入を開始することができない「アプローチバン」を考慮する必要がなくなる。この基準は、2018年3月から施行される。

適切な装置を装備した航空機は、地上施設を用いたより精密な進入によって外が見えない気象条件下であっても着陸することができるが、そのような進入方式よりも、一般的に雲底が200フィート以上であり、視程が0.5マイル以上でなければならないCAT I ILS進入、人工衛星を利用したLocalizer Performance with Vertical Guidance(LPV)進入又は航法精度要件のある進入(RNP進入)の方が、設定されている方式の数が多い。カテゴリーII及びカテゴリーIIIのILS進入により、より雲底が低く、視程が短い気象条件下での着陸が可能となるが、航空機及び空港に対する要件が厳しくなり、空港の処理容量は低下する。EFVSを用いることによって、FAAは、航空会社がほとんど全ての気象条件下で、様々な進入方式を用いて航空機を着陸させられるようになり、空港処理容量が晴天時と同様に保たれるようになることを思い描いている。

現在、最も高性能のEFVSによる視程のアドバンテージは、低高度においておよそ1,000フィートであるが、業界の関係者は将来的にさらなる改良が行われると確信している。

また、今回発行された規則では、合成視野(地形及び障害物のデジタルデータベースに基づく前方の三次元画像)をEnhanced Vision System(IRカメラ、レーダーその他の未来的な装置)による画像に融合させ、飛行の全フェーズにおいて、パイロットの状況認識を向上させるとともに、航空機の誘導を改善することができるCombined Vision System(CVS)をEFVSの一部とすることが可能である点も重要である。さらに、ヘッドマウントディスプレイのような、まだほとんど証明されていない新しい装置の利用も念頭に置かれている。(Aviaion Week 170110)

ADOT 40-07 | LAMモザンビーク航空 B737がドローンと衝突

2017年1月5日、モザンビークの首都マプトから北部の町テテに80名の乗客と6名の乗務員で向かっていたLAMモザンビーク航空のB737-700がテテの空港へ進入している時、運航乗務員は大きな音と共に計器に異常を認めた。乗務員は鳥が衝突したものと思い、進入を継続して無事にテテの空港に到着した。

その後の点検でドローンが航空機先端のレドーム右側に衝突したことが明らかとなった。

LAMモザンビーク航空はこの事態を受け、代替の航空機を準備してマプトへのフライトを行い、この航空機は修理されることとなった。

この地域では鉱物調査のため、10kg程度の重量を持つドローンが度々使用されている。地上からの目撃者によると、空港や航空機に対する注意喚起もされないままにドローンの飛行が行われていたようだと証言している。(The Aviaion Helard 170110)

ドローンと衝突したLAM B737写真

ADOT 40-06 | 航空機へのレーザー照射禁止へ、たこ揚げも対象に

空港周辺で航空機がレーザーを照射される被害が後を絶たないことから、国土交通省は、年内にも航空法の省令を改正し、規制空域内でのレーザー照射を禁止する方針を固めました。

国土交通省によりますと、飛行中の航空機がレーザーを照射される被害は今年6月までの6年間で194件あり、去年12月には沖縄県で米軍機に向けてレーザー照射をした男が逮捕される事件もありました。

◇国内の全空港、米軍機も対象

現行の航空法では、空港の規制対象の空域で気球を飛ばすことや、花火を打ち上げることなどが禁止されています。これに加え、禁止行為にレーザーポインターを航空機へ照射することと、たこ揚げが加えられる方針で、国内の空港全てが対象となります。また、民間機だけではなく、米軍機も対象にするということです。

特に集中力が必要となる離着陸時の妨害行為は重大事故につながりかねず、国土交通省は年内の施行を目指したいとしています。(TBS 160916)

ADOT 40-05 | 無人航空機 飛行情報共有など衝突防止策 新システム、18年度にも運用へ

◇無人航空機 飛行情報共有など衝突防止策 新システム、18年度にも運用へ

国土交通省は無人航空機の安全対策として、有人機と無人機、無人機同士の衝突防止対策の構築に向けて、新たなシステムの導入を計画している。無人航空機の飛行情報を関係者と共有できるシステムを構築するもので、2017年度はフィジビリティスタディ、プロトタイプの作成を実施し、18年度にも運用に結びつけたい考えだ。また、GPS機能などを活用して、無人航空機の飛行禁止空域内での飛行を制限し、許可を取得した場合のみ制限を解除できる技術を開発する方針。これについては17年度に可能なものから順次、運用していく計画だ。政府は18年ごろに小型無人機による離島・山間部における荷物配送の本格化、20年代ごろの都市部における荷物配送の本格化を目指している。安全対策に関する制度整備、関係技術開発に取り組む。

無人航空機は「空の産業革命」とも言われる新たな可能性を秘めた技術であり、今後、さまざまな分野で利活用されることが見込まれるとともに、新産業創出や国民生活の利便・質の向上に資することが期待される。その一方、落下事案が発生するなど、安全面における課題が指摘されており、無人航空機の利用促進と安全確保を両立させる制度の構築と運用が重要になっている。

このため、無人航空機の飛行の安全確保に資する先進的な技術開発を推進し、国として更なる安全性の向上を図るとともに、適切な許可承認の実施と飛行の監督体制を確立する。国土交通省航空局は17年度予算要求に2億7900万円(地方航空局分を含む。16年度予算は1000万円)を盛り込んでいる。

有人機・無人機や無人機同士の衝突防止策として、飛行日時や飛行経路・高度といった無人航空機の飛行情報を関係者で共有できるシステムを構築し、18年度にも運用開始を目指す。GPSなどを活用して、航空法で定める飛行禁止区域内での飛行制限に関する安全対策も構築する。

無人航空機を飛行させる人が安全に飛行させるために必要な能力育成プログラムも導入する。国が知識の取得や技量の確保に関する手法を示すことで、無人航空機を飛行させる人の知識や技量の平準化を図る。17年度には、メーカーや関係業界・団体などが実施している講習会に関する調査も実施。気象や関係法令を含めて、求められる知識などを精査。可能なプログラムから順次、実施する。

目視外や夜間飛行、空港周辺の飛行に関する安全対策の構築にも取り組む。補助者の配置と同等の安全性を確保するための技術や機体の視認性を高めるための技術、制御不能に陥った場合でも、第三者などに危害を加えることなく安全な場所に着陸できるような技術に関する評価手法の確立を目指す。17年度には、これに向けた準備、実験などを行う。

無人航空機の許可承認の審査・監督の強化にも取り組む。国交省によると現在、月間1000件前後の申請があり、効率的な審査・確認が重要になっている。そのため無人航空機に係る安全情報の報告・収集などの基準の策定を行うとともに、適切な許可承認の実施と飛行の監督体制確立のため、17年度に有識者委員会の開催を含め、必要な調査を順次、実施する。

例えば、適切な申請および審査体制の確保、実績報告の分析など追跡調査や監督強化策の確立、許可承認基準の適切な見直し・強化(現行の審査基準などの見直しや飛行マニュアルの整備)に取り組む。

なお、政府は18年ごろに小型無人機による離島・山間部における荷物配送を本格化させる仕組みを導入する。さらに20年代ごろには都市部における荷物配送を本格運用できるように、機体の認証制度や操縦者の資格制度などについて早期に検討・整備する方針を示している。

現在は目視外の場合は原則、監視を付けることが承認に際して求められているが、目視外でも監視を付けずに安全を確保する仕組みの導入も目指している。(日刊カーゴ160905)

ADOT 40-04 | LEDを使用したエンジンコアの着氷センサーが試験中

高高度におけるエンジンコアへの着氷現象についての理解は進んできたが、パイロットに危険を知らせる信頼できるセンサーシステムの開発については、始まったばかりである。

低高度及び中高度の雲等の中で発生する液体の水によるエンジン及び機体への通常の着氷とは異なり、エンジンコアへのアイスクリスタルの蓄積に繋がる状況は、現在の気象レーダーでは検知することができない。さらに、しばしばアイスクリスタルの存在をパイロットに気付かせることのある静電気の帯電及びコックピットにおける騒音の変化が認められるのは、危険が生じるおそれがある空域を避けるためには遅すぎる。

ターボファンエンジンのガイドベーン及びコンプレッサーの表面にアイスクリスタルが蓄積すると、推力の喪失、エンジンの停止、そして場合によってはエンジンの破損に至ることがある。特に世界でも航空交通量の増加率が高い亜熱帯地方でアイスクリスタルが存在する空域に突入する事案が増化している中、アイスクリスタルを検知できるように気象レーダーを改良するための研究が、米国航空宇宙局(NASA)を中心に行われている。

エンジンそのものへの着氷を警告するセンサーの研究も行われている。Podium Aerospaceは、光の反射率によって着氷を検知する反射材センサー(RMS)システムの詳細を明らかにした。

Podium Aerospaceの親会社であるPodium Energy Corp.のJefferson Adler CEOによると、この可動部品を使わないソリッドステートのセンサーは、カナダのNational Research Councilが開発している超音波及び静電粒子プローブを用いるセンサーよりも単純で、丈夫であるという。

Podium Aerospaceのシステムは、エンジンケースに設けられた小窓からガスパスに光を照射する2個の発光ダイオード(LED)を用いており、氷の粒子が小窓の表面に蓄積されると、LEDと同じ場所に取り付けられたフォトダイオードが反射光の強さの変化を検知するようになっている。Podium Aerospaceの技術担当副社長のHarold Baird氏は「音波を解析する必要のない単純なソリューションである」と述べている。

RMSセンサーはエンジンの全自動デジタルエンジンコントロール(FADEC)システムやエンジン指示乗員警告システム(EICAS)と接続され、これによってリアルタイムに着氷を防止するためにガイドベーンを暖めるための気流を増やしたり、可変ブリードバルブを開いたりすることができる。

Podium Aerospaceによると、2つのLEDを用いることによって、周囲の明るさが様々な場合の較正を柔軟に行うことができ、システム全体としてガイドベーンその他のエンジン部品の近くに装置を取り付ける必要がないという。

Baird氏は、このシステムそれ自体は、実質的にエンジンの性能に影響を及ぼさず、「我々が使用するLED及びフォトダイオードは、それぞれ直径が約3ミリメートルであり、0.5インチ程度の窓からエンジン内部を覗くことができる」と述べている。

また、Baird氏は、既に試作品によって着氷状態を模擬した状況で反射率の変化の検知に成功しており、「より詳細な試験を行うとともに、次のステップとして上空における試験及び特殊風洞試験を計画している」と述べている。 (Aviation Week 160824)

ADOT 40-03 | ボーイング787型機のエンジンの不具合に関する調査が進行中

◇アジア太平洋地域2件の787型エンジン問題

ボーイング、ゼネラルエレクトリック(GE)及びロールスロイス(RR)は、8月14日にアジア太平洋地域で発生した2件のボーイング787型機のエンジンの問題について調査を行っている。

◇GE「トランスファーギアボックス」関連問題調査

GEは、東京発、オーストラリアのCoolangatta行きのジェットスター航空のボーイング787型機の乗員が飛行中に停止させたGEnx-1Bエンジンを分解し、検査を行っている。当該航空機には320人の乗客が搭乗しており、滑油圧力に関する警報が出たため、グアムに目的地を変更した。

GEによると、今のところ、今回の不具合が全てのエンジンを対象にサービスブリテンによって検査及び交換が進められているトランスファーギアボックスに関連する問題であるかどうか見当を付けられる段階ではなく、「更なる調査が必要である」という。

◇ピニオンギアを設計し直した

問題が発生した特定のギアボックス(と同じギアボックス)を装備した600台のGEnxエンジンの半数以上が、既に新しく改修されたギアボックスへの交換を済ませており、GEは年末までに当該600台のエンジン全ての改修が終了すると見込んでいる。

このギアボックスの問題は、ギアボックス内部のピニオンギアの摩耗によって過度な振動が発生し、最終的にエンジンの停止に至ることが分かっている。GEは、問題の解決のために、ピニオンギアを設計し直したとしている。

◇RR「Trent 1000エンジン」大きな爆発音

一方、RRは、ボーイング及び全日本空輸とともに、上海行きのボーイング787-8型機が成田国際空港において離陸を中止することとなったTrent 1000エンジンの故障の原因を調査している。この事案では、離陸滑走を開始したおよそ10秒後に、左エンジン(第1エンジン)において大きな爆発音がするととともに、同エンジンのイグゾーストノズル及びバイパスダクトから炎が発生した。 (Aviation Diary 160822)

ADOT 40-02 | <無人機>ヘリと接近4件…法改正後半年間 経路情報共有へ

ドローンなど無人航空機の飛行ルールを定めた改正航空法が施行された昨年12月から今年6月までの半年間に、無人機とヘリコプターのニアミスが少なくとも4件あったことが分かった。国土交通省は衝突を避けるため、無人機とヘリの飛行経路の情報を共有するシステムを取り入れる必要があるとして、来年度予算の概算要求にシステムの調査費用を盛り込む方針だ。

国交省によると、4件のニアミスはいずれも首都圏で発生。1月31日に千葉県の印旛沼付近で翼の幅約3メートルの無人機がドクターヘリの15~25メートル前方を降下▽2月9日に埼玉県の上空約600メートルで無人機とヘリが5~10メートルまで接近▽3月8日に千葉県野田市の上空約600メートルで無人機がヘリの下方約100~200メートルを通過▽3月25日に東京都江戸川区で無人機がヘリの下方約10メートルを通過--した。

◇無人機やヘリ「飛行経路や高度など」情報公開

ドクターヘリを含むヘリコプターは空港事務所に対し、離着陸の時刻や経路を飛行前に申請して許可を得ている。無人機も改正航空法に基づき、人口密集地の上空や夜間、目視の範囲外の飛行では経路を申請しているが、双方の操縦士が互いの経路を把握することはできない。

このため国交省は、無人機やヘリの飛行経路や高度などの情報を公開し、飛行前の操縦士に注意を促す。将来的には無人機同士の衝突防止にも役立てたい考えだ。申請された経路を大型サーバーに蓄積し、自由に閲覧できる手法を念頭にシステムの詳細を詰める。(毎日新聞160809)

ADOT 40-1 |小型無人機の荷物配送 18年に離島・山間部で本格化

◇政府方針、20年代に都市部も 目視外でも監視つけずに

政府は2018年ごろに、小型無人機による離島・山間部における荷物配送を本格化させる仕組みを導入する。さらに20年代ごろには都市部における荷物配送を本格運用できるように機体の認証制度や操縦者の資格制度などについて早期に検討・整備する方針だ。現在は、目視外の場合は原則、操縦者以外の監視をつけることが承認に際して求められているが、目視外でも監視を付けずに安全を確保する仕組み・技術の導入を前提に実現を目指すもの。政府はまた、航空機と小型無人機相互間の安全確保のために、16年度末をめどに有人機と無人機、無人機同士の衝突回避ルールなどを整備する。

7月29日開催の「第5回小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」で、小型無人機のさらなる安全確保のための制度設計の方向性を確認した。政府の「小型無人機に関する関係府省庁連絡会議」で報告するなどして、具体的な制度をとりまとめる予定だ。

昨年11月5日の「第2回未来投資に向けた官民対話」において示された「早ければ3年以内にドローンを使った荷物配送を可能とすることを目指す」という総理指示に基づき、今年夏までに方針を策定することとされている。

昨年12月に施行された改正航空法により、無人航空機は空港周辺、150メートル以上の上空、人家の密集地域での飛行が禁止されている。飛行させる場合には、国土交通大臣の許可が必要だ。また、日中の飛行、目視の範囲内、人や車などと一定距離の確保などが求められている。こうした条件以外で飛行させる場合には、国土交通大臣の承認が必要とされている。

現在は、目視外での飛行については原則、操縦者以外の監視をつけることが承認に際して求められている。

一方、政府は18年ごろに離島や山間部において、監視をつけなくても、小型無人機の運航状況を把握・安全を確保できる仕組み・技術などの導入で、運航を承認する仕組みを整備する方針だ。20年代には、都市部内でも高度な安全確保の仕組み・技術の導入を前提に、目視外でも監視をつけずに荷物配送を可能とすることを目指す。政府はプライバシーの保護や第三者の土地の上空飛行について、ガイドラインの周知や自主的ルールの策定も促進する。

また民間団体などによる講習会や運航管理マニュアルについて、一定の基準に適合しているものを国交省ホームページに掲載し、これを利用する場合に審査を一部簡素化することなども検討している。

◇航空情報(ノータム)運用改善

さらに航空機、小型無人機相互間の安全確保に向けて、航空機と小型無人機の運航者などが参画する検討会を早期に立ち上げ、16年度末をめどに有人機と無人機、無人機同士の衝突回避ルールなどを整備。空港などの周辺で誤作動・誤操作による危険を未然に防ぐルールや対策も検討する。有人機と無人機の運航者が飛行情報を共有できる仕組みも構築するとともに、航空情報(ノータム)の運用を改善する。

7月29日の官民協議会では、加入保険の継続徹底など安全意識の維持・向上、目視外飛行を支える無線システムのあり方などについて検討を深めることも確認した。(日刊カーゴ160801)

ADOT 39-08 | 炭素繊維、ゆくゆくは半値に 生産コスト減へ技術革新

鉄の10倍の強度がありながら重さは4分の1と軽いのが炭素繊維だ。

航空機の機体などに採用されているが、実は日本のメーカー3社で世界市場シェアの7割を占める。生産コストの高さが普及の壁だったが、今年に入り生産コストの大幅低減に道を開く研究成果が出てきた。2020年前後には自動車向けに本格採用が進みそうで、炭素繊維が身近な素材となるのもそう遠くない未来となりそうだ。

■新製法では生産性が10倍に向上

「炭素繊維を現状の半値にできるくらいのポテンシャルがある」。

東京大学大学院工学系研究科の影山和郎教授は胸を張る。東レ、帝人子会社の東邦テナックス、三菱レイヨンの炭素繊維メーカーや産業技術総合研究所と取り組んできた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで「革新的」な炭素繊維の生産技術を開発したと1月に発表した。

炭素繊維は原料となる特殊なアクリル繊維を焼いて炭化させて製造する。いきなりセ氏1000度を超える高温で焼くと燃え尽きるため、最初に200~300度で蒸し焼きにする。この「耐炎化」工程は時間がかかるうえ温度管理が難しく、炭素繊維の生産性向上の最大の壁となっていた。

新製法はアクリル繊維を改質し特殊な加工を施すことで「耐炎化」工程を経なくとも、繊維の炭化が可能という。

◇現在1キロ25ドル前後

従来法では1ライン当たり年産2000トンが限界とされていたが、新製法では生産性を10倍に向上できる。セーターなどの衣料用に使う安価なアクリル繊維も原料に使えるため、原料費も大幅に安くなる。まだ量産化段階ではないが、生産時のエネルギーや原料費を半減させ、理論的には現在1キロ25ドル前後の炭素繊維価格も半分程度に下げることが可能となる。

◇航空機の主要部材へ使える可能性も

新製法で作る炭素繊維は引っ張り弾性率が240ギガ(ギガは10億)パスカル、伸度1.5%と、自動車や風車のブレード(羽根)など一般の産業用途で利用可能な高い性能も持つ。航空機向けも翼を支える小骨となるリブ部品など補強材には使えるレベルだが「今後、性能をさらに高めれば航空機の主要部材へ使える可能性もある」(影山教授)。

工業製品に使う場合は合成樹脂と組み合わせての利用がほとんどだ。複合部材の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の量産化に向けた加工技術の開発も加速している。

名古屋大学ナショナルコンポジットセンター(NCC)は、トヨタ自動車やホンダなど自動車や炭素繊維メーカーなどと共同で自動車部材に使うCFRPの開発に取り組む。炭素繊維を切断しながら合成樹脂と混ぜ合わせ、押し出した素材をプレス成型する連続工程で生産する。「年産10万台の量産車で採用できる生産性の向上をめざす」(石川隆司・名古屋大学特任教授)

◇熱可塑性樹脂だと約1分間で成型可能

使う合成樹脂に熱を加えると柔らかくなる熱可塑性樹脂を使うのが特徴だ。CFRPは航空機や自動車向けに熱を加えて固める熱硬化樹脂を使った加工技術が確立している。ただ航空機向けの部材では6~7時間、自動車向けの部材の最新技術でも硬化までに5~10分ほど時間がかかるとされる。熱可塑性樹脂だと約1分間で成型が可能となり生産性が大きく向上する。

NCCは既に1.4メートル×1.4メートルの床材(フロアパネル)や2メートルを超える側面部材(サイドシル)を完成させた。床材は十数キログラム程度と、鉄で同様の部材を作れば30~40キログラムの重さになるのと比べ大幅に軽い。CFRPが普及すれば、最終的に車体全体の7割程度に使われる可能性がある。車両重量が100キログラム減れば、走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が約20グラム減らせるとされ、大幅な燃費向上やCO2排出量の削減につながる。

■「産業としてまだまだ黎明期」

◇量産車の素材として使われる可能性

CFRPを量産車の部材に使うには1キログラム1000円が目安とされる。現在の炭素繊維を原料とするCFRPでは2倍以上かかる。「炭素繊維が半値になれば量産車の素材として使われる可能性は十分ある」(石川教授)

◇ボーイングから1兆円を超す受注

炭素繊維や複合材料の新加工技術は確立しつつあるが、量産化には課題も多い。炭素繊維の世界需要は6万トンほどで、15億トンを超える世界の鉄鋼需要との差は圧倒的だ。「産業としてまだまだ黎明(れいめい)期にある」(繊維大手)が、成長は著しい。東レが米ボーイングから1兆円を超す案件を受注するなど、航空機向けの需要は堅調だ。メーカー各社は既存法での増産投資を進めており、投資コストの回収にも時間がかかる。「今は価格よりも安定供給が重視されている。売り手市場でメーカー側の意思決定が物を言う」(関係者)との声もある。高く売れているのに、あえてコストと価格を下げる必要がないわけだ。新製法で年産数万トン単位を生産するにはあと20年以上かかるとの見方もある。

◇欧州CO2排出量95グラム規制

ただ近い将来、世界的な環境規制の強化を背景に自動車向けの需要が急速に高まることが予想される。欧州では21年に走行距離1キロメートル当たりのCO2排出量を95グラム未満にする規制が始まる。現行比で約2割の排出量削減が必要で、燃費改善に向けた車体の軽量化が避けられない。中国でも20年に100キロメートル当たりの燃料消費量を5リットルと現在から3割減らす燃費規制の導入が見込まれる。17、18年の次期モデルから利用拡大が進み、20年前後ではさらに大きな需要が見込まれる。(日経160707)

ADOT 39-07 | FAAが小型UASの規則を策定

連邦航空局(FAA)は、21日、商用の小型無人航空機システム(UAS)に関する初めての規則を策定し、国家航空システムにUASを完全に組み込むための道筋を切り開いた。

Anthony Foxx運輸長官は、「無人航空機(UA)のポテンシャルによって、特定の業務、情報収集、災害時の救援等がより安全かつ容易となるだろう。我々は、航空のコミュニティーとともに、安全を確保しつつイノベーションのサポートに協力していくことを楽しみにしている。」と述べている。

業界の推計によると、この規則が今後10年間で生み出す利益は820億ドルを超え、10万人を超える雇用が創出されるという。

8月下旬に施行される予定のこの新しい規則(14 CFR Part 107)は、ホビー用を除く55ポンド未満のUAのための安全規則で、他の航空機並びに地上の人及び物件に対するリスクを最小化するため、次のような運航に関する事項が規定されている。

・操縦者は、UAを自身又はオブザーバーの視界(Visual Line-of-Sight、VLOS)の範囲内で飛行させなければならない。オブザーバーを置く場合であっても、操縦者からUAが常に見えていなければならない。

・UAの飛行は、日中及び薄暮の時間帯(衝突防止灯が装備されている場合に限る。)に限る。

・高度は原則として対地400フィート以下、速度は87ノット以下

・UASの運航に携わっていない者の上空の飛行禁止

FAAは、一定の条件の下に安全が確保される場合に一部の規制の適用を免除するためのプロセスも用意しており、数か月の間にオンラインで申請できるようにするとしている。

FAAのMichael Huerta長官は、「我々は、この新しいテクノロジーを展開させるニーズと安全を守るというFAAのミッションのバランスをとるための注意深く、かつ、慎重なアプローチをとっている。この新しい規則はその第一歩にすぎず、我々は既に運航の範囲を拡大するための更なる規則についての作業に取りかかっている。」と述べている。

また、今回の規則には、次のように規定されている。

・UAを操縦者は、16歳以上であり、小型UASのための遠隔操縦者証明を保有するか、当該証明を保有する者の監督を受けなければならない。

・遠隔操縦者証明を受けるためには、FAA認定の試験場で学科試験に合格しなければならない。航空機の操縦士の技能証明を保有している場合には、過去24か月以内のフライトレビューの実施及びFAAによるオンラインの訓練コースの受講でもよい。

・遠隔操縦者証明の発行の前には、運輸保安局(TSA)による素性調査が行われる。

・小型UASは耐空証明を受けなくてよいが、安全に関するシステム(地上の操縦者とUA間の通信システムを含む。)が適切に機能することを確認するために、運航者が飛行前に目視点検及び作動確認を行う責務を有している。

新しい規則はプライバシーの問題について定めておらず、FAAはUASによる人や財産に関するデータの収集について規制していないが、FAAはUASの運航者に対してプライバシーに配慮するよう呼びかけるとともに、州の法律や条例を確認することを推奨している。

プライバシーに関する啓蒙活動の一環として、FAAはUASの登録のプロセス及びFAAが公開している携帯端末用のB4UFlyアプリを通じて、プライバシーに関するガイドラインについて情報提供することとしている。また、遠隔操縦者証明のプロセスにおいて商用UASの操縦者に対して啓蒙を行うとともに、州政府や地方自治体に対するガイダンスを発行することとしている。これらのFAAによる取組みは、国家電気通信情報局(NTIA)が5月に発行した「ベストプラクティス」に基づいている。

ホビー用のUASについては、今回の規則(14 CFR Part 107)は適用されず、これまでどおりPublic Law 112-95のSection 336の基準(14 CFR Part 101に反映される。)に従う必要がある。

(FAA 160621)

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