おわりに
以上述べたように、日航123便事故に関する「事故調査報告書」は肝心なところはその理由を明らかにせず。事故調のシナリオにとって決定的な重要性を持つ急減圧実験については疑惑がもたれており、どこから見ても「急減圧」があったとする証拠はない。「急減圧」の存在を主張されている出版物もあるが、ここで指摘するように、急激でない減圧は認められるが、毎分 280000FTという激しい急減圧を裏付ける事実は今の所見あたらない。従って、当然再調査が必要である。
この報告書の中で、唯一航空関係者の評価を得ているのは、報告書5.2の所見の項に述べられているCVRの改善である。本件事故ではCVRの解読に多くの疑問が指摘されており、CVRの内容の解読がが事故原因の究明に重要であることは衆目の一致するところである。このCVRの改善を指摘したことは評価に値するものとして注目される。
CVRの改善についてはアメリカ・日本では行われていないが、イギリスではすでに改善されたシステムが使用されている。これは「ホット・マイク システム」と呼ばれているもので、各乗務員の席に装備されているマイクロホンの出力を常時CVRに入力されるように配線する事によって、各乗員の会話が明瞭に記録されるだけでなく同時に、操縦室内の音を記録するための、一種の集音マイクとしても利用するもので、多くの費用を要しないで大きな効果を上げている。
機体によっては、この方式と現在日本とアメリカで使用されている解読しにくい方式をスイッチで切り替えて使用できるものもあると言われ、乗員らの同意を得れば、すぐにも改善できる問題である。
真の事故原因を明らかにしなければ、再発防止はおぼつかない。真の事故原因を究明することは人類の利益につながることであり、ここでは誰の責任かは問題ではない。何故事故は発生したのかを科学的に追求し、このような悲惨な事故が再び起きないようにしなければならない。それが520人の命を無駄にしない道である。